遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

利用者からのパワハラ

長年ヘルパーをやっておりますので、色々な利用者に出会いました。

その中で衝撃的だった方のお話をします。

 

その方はまだ60代(女性)で病気のためベッド上の生活をされていました。

娘さんが作られたお食事を、ヘルパーがセッティングをして食べていただくという

内容で訪問をしておりました。

 

朝食にトーストを焼いてインスタントスープをお出しするんですが、そのスープを

娘さんはいろいろな種類のスープをご準備されていました。

 

「今朝はどのスープにされますか」

「あなたに任せるわ」

 

そう言われたので、適当に選んでお湯を入れてお出ししました。すると

「え、これにしたの?今日はこういう気分じゃないのよね。捨ててちょうだい。」

「ではどれにしますか」

「あなたには私の飲みたいものなんかわからないでしょ。」

 

いつも朝食後に飲むコーヒーも入れるので、それをお出ししたら

「コーヒーを飲まない人が入れたコーヒーっておいしくないのよね。」

 

以前私はコーヒーは苦手だという事を話したことがあったので、言われてしまいました

た。

 

私の事業所では訪問に担当制をとっておらず、ヘルパー全員がどの利用者にも訪問

できるようにしていたのですが、さすがにこの方へは誰も行かれなくなってしま

いました。行くヘルパー行くヘルパーほとんどが涙目になって帰ってきました。

 

言われた言葉はそれぞれに違いましたが、今まで言われたことがないようなことを、ど

のヘルパーも言われ続けました。限界でした。

 

でもこの方は病気をされる前は、従業員を何人も使っていたような方で、まだ若くして

病気になり、そのイライラをぶつけるところがなく、ヘルパーにあたっているんだな

とは思いました。しかしヘルパーも人間です。行くたびに嫌な思いをし、反論もできず

我慢する事に限界がきてしまいました。

 

利用者から事業所を変更する権利はもちろんあります。

事業所側からほかの事業所への変更を申し入れたのは初めてです。

同一法人の事業所にもお願いしましたが、そこも同じように訪問できるヘルパーがいな

くなり、また別の事業所もダメで、一番大変だったのはケアマネージャーだったと思い

ます。

 

今後ますますこういう利用者が増えることは予想されています。

都会は特にそうだと思います。

 

私は自分では素直な年寄りになろうと思います。

こんな風になりたいなと思う高齢者もたくさん見ています。

 

すべての方が最後まで自宅で生活できるようにお手伝いするのが私たちの役目ですが

こちらから訪問のお断りをした初めての事例でした。