遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

気の毒なくらい落ち込んでいるシゲオさん

シゲオさんご夫婦。ふたり暮らし。

おばあちゃんが軽度の認知症で、毎日朝の服薬確認のため訪問を

しています。

 

軽度の認知症とは言っても、食事の準備や片付けもシゲオさんが

やっていて、おばあちゃんはやりません。できません。

 

生活はほとんどをシゲオさんが管理し、銀行でも集金でも

金銭面は特におばあちゃんにはできなくなっていました。

 

若い時は駅の助役をやっていた方で、すべてにおいてきちんと

しており、言葉づかいも丁寧で、本当に紳士という言葉が

ピッタリのシゲオさんでした。

 

そんなシゲオさんが最近元気がないんです。

 

異変に気付いたヘルパーが声をかけました。

 

すると泣き出しそうな表情で、

 

「何だか何にもできなくなってしまったよ。

自分の名前も書けなくなってしまった。」

 

目の前に銀行の用紙があり、いつもならささっと書いて

銀行に行っていたのに、名前が書けないって言うんです。

 

どうしたことでしょう。

 

事業所のヘルパーたちに聞くと、やはりどのヘルパーも

シゲオさんの異変に気付いていました。

 

たまたま今日定期受診だったので、主治医にその旨を話した

そうです。

 

主治医からは、

「年齢的な事もありますが、一度物忘れ外来を

受診するのも一つだと思います。とりあえずアリセプトを

処方しましょう。」

 

シゲオさんはアリセプトと言われても何の薬の事かわかって

いない様でしたが、一番軽いものから始めるとの事でした。

そして主治医はシゲオさんに認知症だとは言いませんでした。

 

シゲオさんの不安は続いており、元気はありません。

ご飯もあまり食べないし、ただ落ち込むばかりです。

 

今日の通院結果はケアマネを通して、ご家族にお伝えしました。

 

私の場合は早く正確な診断が欲しかったので、すぐに物忘れ

外来に母を連れて行きました。

 

シゲオさんもご家族が遠方ですぐには来られませんが、おそらく

早急に検査を受ける方向で話が進むと思います。

 

家族よりも本人が一番異変を感じています。

このまま自分はどうなってしまうのか。不安だと思います。

 

冊子の意欲低下編から

 

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おばあちゃんはシゲオさんの異変に気付いているんでしょうか。

 

もし気付いているとしても、代わりに家事ができるわけではありません。

 

ご夫婦二人で何とか在宅で頑張ってきましたが、この先ご家族はどのような

判断をするんでしょうか。シゲオさんはどうしたいんでしょうか。

 

私たちにできる事があれば援助していきますが、やはり限界はあります。

 

心配です。