遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

利用者の事は家族よりケアマネよりヘルパーが知っていた。

 

 

カンファレンスバナー

 

 

 

毎日2回訪問していたトモオさん。

 

いつも体調を伺えば決まって

 

「なんともない」

 

と答えられる。

 

入浴介助でご家族が浴槽に入れてくれたお湯がいつも残り湯で

明らかに冷めたお湯でも

 

「なんともない」

 

痛くないか、痒くないか何を聞いても

 

「なんともない」

 

脳梗塞の後遺症で多少落ち着きがなく、じっとしていられず、

食事中でも起きたり寝たりでただ座っているって事もない

トモオさん。

 

最近入浴前のバイタル測定で検温すると38度もあったり。

でも暖かいお部屋のせいかと思い、わきの下に風を

入れて再検すると37.1くらいに下がるんです。

 

体調を聞くとやっぱり

 

「なんともない」

 

そんないつも何かあっても我慢しているのか「なんともない」

と言う人が先週の金曜日、家族に腹痛を訴えたとの事。

そしてじっとして横になったままだとか。

 

それを聞いたヘルパーたちはこれは大変、一大事だと思いました。

 

この日は奥様も仕事を休んで様子を見るとの事で訪問はキャンセル

になりました。

 

ケアマネさんが電話で状態確認をしたところ、何だか血便ぽい気がする

と奥様が言ったらしい。

 

トモオさんは若くして脳梗塞をされたので、主治医は脳神経外科でした。

すぐに病院受診した方が良いと思いました。

 

数日前の熱発や腹痛、血便。絶対何かが起こっています。

 

第一本人が痛みの訴えをした事が何よりも大変な事が起こている

証拠です。

 

ケアマネも色々アドバイスはしたと思いますが、奥様はまず

主治医の所に自分だけ言って症状を話して来るとのことで、

脳外科から腹痛の薬を貰ってきたそうです。

 

 

それを聞いたヘルパーは、

 

「なんで、すぐに市立の救急に行かなきゃダメでしょ。

え、どうして本人を連れて行かないの。絶対ダメでしょ。」

 

ケアマネさんが奥様から話を聞くと、

 

「とりあえず薬で様子を見て、月曜日に腹部エコーやその他の

検査をするって。」

 

ヘルパーたちは、

 

「なんで月曜日までおくの?ダメだよ。今すぐにでも市立に

行かなきゃならないレベルでしょ。」

 

でもケアマネさんは

 

「明日様子を見に言ってくる。」

 

って。

 

そして次の日土曜日。トモオさんから戻ってきたケアマネさんが

 

「トモオさん元気になってたわよ。」

 

ヘルパーは、心の中ではそんなはずがないと思いましたが、

 

「へぇ~。良かったですね。」

 

 

日曜日私は公休日でした。

 

しかし出勤ヘルパーからラインが。

 

トモオさんの訃報でした。

 

 

うわ~。もうショックで。

 

何でわからないんでしょうか。ヘルパは全員思いました。

 

だから一大事だって言ったじゃない。

 

毎日2回訪問しているヘルパーはすぐに異変を感じるし、大変な

事が起こっていると確信します。

 

トモオさんの援助内容は、午後から訪問したヘルパーが排泄介助して

夕食を提供しベッドへ誘導して臥床してもらい、ご家族が帰宅した

時はもうベッドで休まれている状態にしておく事です。

 

だから普段のトモオさんを家族よりもヘルパーの方が見ています。

 

それにしても今回ご家族には危機感が全然ありませんでした。

 

残念でなりません。

 

 

終わってしまってから、もっと強く受診することを勧めるべきだったとか

すぐに救急車を要請するように言えばよかったとか色々思ってしまいます。

 

助けられなかったことをみんな悔やんでいます。

 

 

でもいつも仕事で朝早くから夜遅くまで不在の奥様が、最後は仕事を

休んでトモオさんと一緒にいてくれたので、トモオさんは幸せだった

んじゃないかと思います。

 

 

私たちは医療従事者ではありませんから、専門的な事はわかりませんが、

でもその利用者んさんの異常には敏感で、いつもと違うって事はわかり

ます。

 

その些細な気づきが大切で、これからも在宅の高齢者が末永く在宅

生活が継続できるように支援していきたいと思います。

 

 

 

 

 

にほんブログ村 介護ブログ 高齢者福祉・介護へ
にほんブログ村

お名前.com