遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

ヘルパーが放った衝撃的な言葉。

 

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脳梗塞という病気はけして高齢者にだけ起こる病ではなく、

年齢問わず突然起こる事が多い病です。

 

同年代のあるご夫婦。

 

旦那様が50代の働き盛りで脳梗塞を発症し、ほぼ寝たきり

の状態となり要介護5の認定を受けました。

 

そんなだんな様を一人で介護する奥様。

 

でも介護だけではなく、働かなければ収入が得られませんから

介護と仕事と両立し、日中の介護はヘルパーを依頼していました。

 

私の事業所では日中の介護では訪問していませんが、通院の

乗降介助で訪問をさせていただいています。

 

まだ若く回復の余地があったので、デイケアや訪問看護も利用して

リハビリにも励み、最近は一人で立位が可能となるまで回復されました。

 

私たちは通院に使う車いすを持参し、ベッドから車いすへ移乗介助を

して、院内もそのまま車いすをお貸しして、奥様にとって通院が

負担とならない様に配慮して支援してきました。

 

この方はとても体格が良く80キロ近くあるような普通の男性です。

 

ですから寝たきりで全介助の状態での車いすへの移乗は、一人で行う

事ができず、二人体制で訪問していました。

 

しかし最近になって一人で立つことが可能になってきたと伺いました

ので、二人体制を取らなくても奥様と二人でやれば少しの介助で

移乗が可能なのではないかと思いました。

 

せっかく訪問看護さんがリハビリもやってくださっているんですから、

ご自宅で車いすをレンタルしリハビリの時に、車いす移乗のリハビリを

行えば、もっと行動範囲も広がりご本人のためになるんではないかと

思いました。

 

こちらから車いすを持参しなくても、自宅の車いすに慣れればそれが

一番自分の体にもフィットした乗り心地の良いものになるんではないか

と思い、ケアマネさんにもその事を伝えました。

 

するとケアマネさんから、自分も車いすのレンタルの話は何度もした

んだけど、なぜか奥様は借りるとは言わないって。金銭的に厳しいから

なのか。でも災害時の事とかを考えたら絶対あった方が良いんだけど

なぜか渋っているって。

 

あの体は絶対おんぶもできないし、車いすは必需品だと思うんだけど。

 

その話をヘルパー達にしました。

 

「どう思う?車いすでリハビリすればいいと思わない?

災害時だって絶対必要だよね。」

 

そしたら一人のヘルパーが口を開きました。

 

「車いすはいらないんですよ。あれば奥様が大変ですから。」

 

別のヘルパーも、

 

「そうです。災害時はきっとゴメンと言って自分だけ逃げるんですよ。

連れてはいかれないんですよ。置いていくんですよ。」

 

「そうだね。私が奥さんの立場だったらやっぱり置いていくかも。

これ以上の負担はしょえない。限界だと思うな。」

 

何だか普段優しいヘルパーさん達から想像もできない言葉が返って

きました。

 

あくまでも災害があった場合の想像の話ですけど。

 

 

毎月通院のお手伝いをしているヘルパー達は、このご夫婦の事をすごく見ています。

 

私はあまり見ていません。

 

いつもみているヘルパー達は、奥様の胸の内に秘めたものを

すっかり読み取っている様です。

 

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とにかく奥様は疲れています。

 

明るい未来が見えないんです。

 

私は旦那様がいくらでも元気になって動けるようになれば奥様の負担も

軽くなるんではないかとばかり思っていました。

 

しかし現実は違いました。

 

寝たきりでいてくれた方が楽だった。

 

動けるようになる事でますます負担が増えてきた。

 

そういう事でした。

 

車いすなんていらない。あったら大変。

 

 

 

 

 

 

旦那さんを元気にする事は旦那さんに対する支援。

 

その反面奥様の負担は大きくなり、どんどん気持ちが違う方向に

行ってしまう。

 

このご夫婦にとってはどうする事が一番いいんでしょうか。

 

ケアマネさんにはヘルパー達が放った言葉は伝えていません。

 

 

なんとかして奥様を助けられないでしょうか。

 

 

旦那さんよりも奥様が心配なご夫婦の話でした。

 

 

 

 

 

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