遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

母の気づかい

 

 

 

最近ちょこちょこ母から電話が来ます。

 

些細な事でも電話が来ます。

 

良いんです。いつでもかけてと言ってあるんで。

 

昨日夜の10時近くになって電話が来ました。

 

「もしもし、あのさ、台所のテレビを消したいんだけど、

どうやって消すのかわからなくなっちゃったのよ。」

 

「テレビはリモコンで消すんでしょ。」

 

「リモコン?リモコンってどれだっけ。」

 

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「いつも大体同じところに置いてあるでしょ。」

 

「それがわからないのよ。」

 

「台所のテーブルの上にあるでしょ。」

 

「え、どれだろう。無いわよ。困ったわねどうしようかしら。」

 

「お父さんは?もう寝ちゃったの?」

 

「そう。もうここにはいないの。でも聞かないとわからないか。」

 

「そうね。電話じゃ私も探せないわよ。」

 

「じゃあお父さんの所に行ってみる。

お父さん、台所の電気を消したいんだけど。」

 

「電気じゃないでしょ。テレビでしょ。」

 

「そうそうテレビ。」

 

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「リモコンがあるでしょ。誰に電話してるの?」

 

「(私の名前)」

 

「え?いいから電話を切りなさい。」

 

「お父さんが電話を切りなさいって言うから切るね。」

 

そこから夕べは電話がなかったので、無事にリモコンで父が消した

んだと思います。

 

 

 

 

そして今朝父から電話です。

 

「夕べはお騒がせしました。」

 

「別にいいよ。大丈夫だよ。お母さんさ寝てるお父さんを起こせば

悪いと思って私に電話かけてきたんだよ。」

 

「そうなんだよね。だからね、可愛そうだと思って笑ってあげた

けどね。」

 

「お母さんデイサービスに行かない時水分をあんまり摂って

無いんじゃない?脱水になると認知症状が進むよ。」

 

「へぇ~、そんな事あるんだ。それをお母さんに言ってよ。」

 

「はい、なあに。」

 

「リモコン見つかった?」

 

「リモコンがどうしたの?」

 

「昨日テレビの消し方がわからないって電話くれたでしょ。」

 

「え?そうだった?テレビが消せないって?そんな馬鹿な事あるのかしら。」

 

「あら、覚えてないのね。あのさ、ちゃんと水分摂ってる?」

 

「水分?摂ってますよ。なんで?」

 

「たぶん夕べは脱水状態だったんだと思うよ。今はテレビの消し方

わかるの?」

 

「わかるわよ。」

 

「じゃあ良かった。」

 

 

こんな認知の母です。

 

でも寝てる父に迷惑かけられないっていう気づかいはまだちゃんと

していました。

 

それをわかる父も、テレビの消し方がわからないと言った母を

怒ることなく、笑って消してあげたって。

 

何だか泣けてきます。

 

できない事がどんどん増えて、父に怒られてばかりの母です。

 

寝てから起こされれば誰だって怒りたくなります。

 

怒られるのが嫌で私に電話をかけてきたのかもしれませんが、

私はそう考えるのではなく、父に対する気づかいで私に電話を

かけてきたんだと父にも言いました。

 

そんな元々の母が出てきたことがすごくうれしく、

父の対応にも感謝したいと思います。

 

夫婦仲良く在宅生活頑張ろうね。

 

 

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