利用者のKさんは伝統工芸品を作っていた職人さんでした。
その作品は賞を受賞するくらい大変優れた物でした。
県を代表するような立派な職人さんだったKさんです。
そのKさんが最近認知症状が出てきて、排泄面でも失敗が
続き奥様が困り果てていました。
排泄だけならまだ何とかなりますが、暴言暴力まで出てきてしまい、
奥さんが外に逃げ出すような事もあった様です
ケアマネさんは奥様の事を考え、Kさんを１泊だけでもショートステイ
に泊まってもらって、奥様をゆっくり寝かせてあげたいと思い、Kさんを
説得して昨日ショートステイに行ってもらいました。
ところがショートの方から、これ以上は無理だという事で昼前に強制
退所になったとの事。
何があったのか詳しくはわかりませんが、奥様にすれば何かをやらかした
なと思ったそうです。
おそらくかなりの事があったんでしょう。
しかしそのことを娘さんに話をしたところ、全く納得してはくれなかった
そうです。
Kさんの異変を全く認めようとせず、両親のいざこざも昔からあった事で
特別な事ではないそうです。
ケアマネの考えは、Kさんを専門の病院でしっかり診断してもらって
治療をした方が良いのではないかという事です。
元々の性格はおとなしい方だったんです。
頑固なところは職人気質だからです。
そんなKさんの行動は奥様も異常だと思っています。
この娘さんも介護職との事。
だったらわかるでしょう、とケアマネは思いますが、やっぱり
自分の親の事となると認めたくないんだと思います。
親の認知症を認めないご家族はよくいます。
でも専門職の人から言われた助言は、だいたいあってると思います。
正しい診断を受けた方が良い事は確かだと思います。
そう思わないご家族を説得するのは大変です。
特に今回のような娘さんも介護職だったりすれば、なかなか助言も
困難です。
このまま放置しておいていい事はありません。
奥様が倒れてしまう事も考えられます。
自分の子供がなにか悪い事をしても「うちの子に限って」というモンスター
がいますが、それと同じように「うちの父に限って」と言っているんです。
昔は何でもできた尊敬する自慢の両親だったと思います。
多くの方はみんな両親の事をそう思っていると思います。
だから親の老化も認めたくないし、まして自分の親が認知症だなんて
絶対嫌です。
もし離れたご両親が自分の知らないうちに認知症になったら・・・
そんな事も頭の隅っこに置いておいてください。
もしかしたらそんな事が起こるかもしれません。
そう思っていてくれるだけで良いんです。
絶対にならないって思わないで下されば助かります。
それが治療の開始を遅らせないためになりますから。
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