遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

子供の時の記憶は消えない

70代後半の利用者さんで、現在慢性白血病治療のため入院している方がいます。

 

今日、その利用者さんが入院している病院の病棟から、ケアマネージャーに電話が

きました。ケアマネージャーは退院の話だと思って電話にでました。

 

要件をうかがうと、「現在行っている治療は1日数千円という薬を使って点滴治療を

行っています。このまま続けていいかをご家族に聞いてほしい。もし治療をやめ

るとなると、急性になり命の危険が出てきます。」という事でした。

 

そもそもこんな病状や治療方針に関することは、病院が直接ご家族と連絡を取り合って

進めることではないでしょうか。ケアマネージャーが間に入って行う事ではないはずで

す。

 

ケアマネージャーは内容にびっくりして、ご家族に直接電話をしてくださいと言いまし

た。すると病院から、

 

「この方のご家族からは、亡くなったとき以外は連絡しないでほしいと言われている」

 

との事だった様です。

 

仕方なく、ケアマネージャーは息子さんに電話をしてその旨を話しました。

息子さんからは、

 

「その治療は今すぐに中止してください。そう病院に伝えてください」

 

という返事でした。

 

ケアマネージャーから話を聞いた私たちは、なんていう息子さんなんだろうと思いまし

た。しかしこの息子さんは、子供の頃、この利用者さんにひどく暴力を受け、自分の母

にもつらく当たっていた姿も見ていて、父親を許せなかったとの事でした。

 

今世の中で自分の子供に暴力をふるうニュースが頻繁に聞かれます。

 

月日がたって、親が高齢者になったときは、必ず立場が逆転します。

 

大切に育てられた子供は、必ず親の事も大切にします。

 

子供は言うことを聞かなくて当たり前。反抗して当たり前なんです。

誰でもそうだったと思います。

 

暴力を受けて育った人が、自分の親のようにはならないと思って我が子の事は大切に

育てようと思いますが、自分の親にはやはり優しくはなれず、つらく当たらざるを得な

くなる気持ちは、なんとなくわかるような気はします。

 

今回の話も、つらい治療を長く続けても完治しないのであれば、早く楽にして

あげたいという優しさもあるのかとも思えるのですが、真意はどちらなんでしょうか。

 

複雑な気持ちです。