70代後半の利用者さんで、現在慢性白血病治療のため入院している方がいます。
今日、その利用者さんが入院している病院の病棟から、ケアマネージャーに電話が
きました。ケアマネージャーは退院の話だと思って電話にでました。
要件をうかがうと、「現在行っている治療は1日数千円という薬を使って点滴治療を
行っています。このまま続けていいかをご家族に聞いてほしい。もし治療をやめ
るとなると、急性になり命の危険が出てきます。」という事でした。
そもそもこんな病状や治療方針に関することは、病院が直接ご家族と連絡を取り合って
進めることではないでしょうか。ケアマネージャーが間に入って行う事ではないはずで
す。
ケアマネージャーは内容にびっくりして、ご家族に直接電話をしてくださいと言いまし
た。すると病院から、
「この方のご家族からは、亡くなったとき以外は連絡しないでほしいと言われている」
との事だった様です。
仕方なく、ケアマネージャーは息子さんに電話をしてその旨を話しました。
息子さんからは、
「その治療は今すぐに中止してください。そう病院に伝えてください」
という返事でした。
ケアマネージャーから話を聞いた私たちは、なんていう息子さんなんだろうと思いまし
た。しかしこの息子さんは、子供の頃、この利用者さんにひどく暴力を受け、自分の母
にもつらく当たっていた姿も見ていて、父親を許せなかったとの事でした。
今世の中で自分の子供に暴力をふるうニュースが頻繁に聞かれます。
月日がたって、親が高齢者になったときは、必ず立場が逆転します。
大切に育てられた子供は、必ず親の事も大切にします。
子供は言うことを聞かなくて当たり前。反抗して当たり前なんです。
誰でもそうだったと思います。
暴力を受けて育った人が、自分の親のようにはならないと思って我が子の事は大切に
育てようと思いますが、自分の親にはやはり優しくはなれず、つらく当たらざるを得な
くなる気持ちは、なんとなくわかるような気はします。
今回の話も、つらい治療を長く続けても完治しないのであれば、早く楽にして
あげたいという優しさもあるのかとも思えるのですが、真意はどちらなんでしょうか。
複雑な気持ちです。