遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

高齢者の恋愛?そして同居。しかし・・

 

 

ツルさんと久男さん。お二人とも80代。

 

お二人はどちらも配偶者を亡くされています。

 

そんなお二人はカラオケ喫茶で知り合われ、その後同居生活をされています。

 

元々久男さんは自宅があり、そこに長女さんとその長男(孫さん)と暮らして

いました。ところがその数年後長女さんが再婚で出ていき、孫さんは結婚し

お嫁さんを迎え子供も生まれて、孫さんに気を使った久男さんは自宅には居場所

がなくなってしまいました。

 

ツルさんも会社を経営するお金持ちでしたが、その会社が倒産し家も取られ、

借家住まいをせざるを得なくなって生活保護を受けていました。

 

そんな二人がツルさんの借家で生活するようになりました。

 

生活を始めたころはお二人ともお元気で、お二人の将来も一緒に施設に

入って楽しい老後を送りたいと思っていたと思います。

 

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しかし現実は厳しいものになりました。

 

ツルさんが定期受診で通っている病院で、病院の中で何かと衝突し

怪我をしてしまいました。その怪我が原因で車いすでの生活となって

しまいました。病院からの損害賠償で多少のお金が入ったので、生活

保護も中止になってしまいました。

 

 

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そのツルさんのお世話が久男さんにかかってきました。

食事準備・買い物・洗濯と家事全般を頑張ってやっていました。

 

お二人にはそれぞれお子さんがおられ、久男さんの娘さんにすれば、

なんで父親が今になってそんな苦労をしなきゃならないのかと、

最初から二人の同居には反対だったのに、さらにツルさんに対して

いい感情はありませんでした。

 

ツルさんの息子さんは、そんな体になった母親と一緒にいてくれる

久男さんには感謝し、同居を応援していました。

 

ところがとうとう久男さんに疲れが出てきて、突然高熱を出し、

その後耳が聞こえなくなってしまいました。熱が下がっても

耳は良くなりません。

 

この状況でもお二人の同居生活は続き、ツルさんが何かを言っても

さっぱり聞こえず、理解できない久男さんにイライラがつのった

ツルさんがとうとう半狂乱となってしまいました。

 

再度高熱を出してしまった久男さんにもとうとうせん妄が出てきて

しまい、現在は精神科への入院となってしまいました。もう元の

生活に戻す事はできなくなりました。

 

行くところを失った久男さんと、車いすで一人になってしまったツル

さん。どちらも気の毒な結果となりました。

 

このお二人に何も起こらなければ、恋愛という形で幸せな生活が

継続していたと思います。

 

ちょっとした事故がきっかけで、どんどんと生活が崩れてしまいました。

 

高齢者の恋愛もありだと思います。

 

でもやはり家族の理解や協力がないとこのような結果になってしまいます。

本当の夫婦であったとしても、この状況は厳しいものになっていたと思います。

 

高齢者の幸せを常に応援しなければならないんですが、とても残念です。

 

久男さんが高熱を出す前のお二人は、本当にご夫婦でした。

私たちはお掃除で訪問していましたが、久男さんから生活の

不満を聞いた事は一度もありません。

 

ツルさんと一緒にいる事ができれば、ここに置いてもらえるなら、

調理や買い物・洗濯をするのも当たり前の事だったと思います。

 

今後ツルさんは1人暮らしをしていくのか、久男さんは退院後

どこに行くのか。どうなる事でしょう。

 

高齢者が第2、第3の人生を始めるときはやはり将来的な話を

きちんとして、家族に理解を求めてそれから始めればよかった

のかな。

 

反対を押し切って走っても、良い事はなさそうです。