遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

決して特例ではありません

若い頃は大工さんでたくさんお金ももうけて、3人の子供さん達を育てた

70代後半のご夫婦。

 

現在、お父さんが要介護3で、足の拘縮がありほぼ寝たきりの状態。

お母さんも腰痛や糖尿病で、介護が大変になってきたので介護保険を申請し

今は通所リハビリと私たち訪問介護を利用されています。

 

ところがこのご夫婦、昔はとても裕福な生活をされていたんですが、年金を

かけていなかったんです。

年金をかけなくても蓄えだけでなんとか生活はできると思ったんだと思います。

 

ですので、今の生活費から介護保険の利用料金まですべてを3人の子供さんたちが

強力しあって、ご両親の生活を支えていました。

 

しかし、以前にもブログに書いたように、孫さんたちが大きくなり、子供さん

達も、自分たちの子供の学費が必要でご両親の生活費が負担できなくなってきて

しまいました。

 

そしてやむなく、生活保護を申請されました。

 

生活保護も無事に受給が決まり、何とか子供さんたちに迷惑をかけなくても、生活

できるようになりました。そんな矢先、お父さんが不安定になってしまいました。

お母さんに突然、

 

「包丁を持ってきてくれ」って。

「なんで」ってお母さん。

「こんなに皆に迷惑をかけてまで生きている必要ないだろう。死んでしまえば

一番いい」

 

この話をしながらお母さんは泣いてしまいました。

 

お父さんの心情はわかります。でも、これを如何にしてお父さんの元気を取り戻して

いただくか、生きていればいい事もあると思っていただけるのか。

 

そう思う反面、やはりなぜ年金をかけなかったのか。

そこが一番の問題でした。

 

今がよければ良いのではなく、やはり「前もって」の準備は必要です。

 

高齢者の自殺の原因の多くはやはりお金に関する事なんではないでしょうか。

 

あと50年先、今の20代の若者が70代になった時、どんな世の中になるんで

しょうか。子供はいない、年金はかけてない、蓄えもないでは生きていかれません。

 

生活保護だって破裂します。

 

私は当然その頃はいませんが、我が子にはしっかりした生活設計を立てて、

悲しい思いをするような事だけは避けてもらいたいと思うだけです。