遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

捺印、そしてクレーム

介護保険が始まってから、介護を受けるのにも自己負担が必要となってきました。

介護保険制度のできる前は、措置の時代があって、行政で決定された利用者に

所得に応じての利用料で自己負担額が決められていました。したがって、

一人暮らしや高齢者世帯ではほとんどが非課税世帯だったので、自己負担は

0円で訪問介護も受けることができました。

 

その昔は介護を支える働き盛りも多く、高齢者の介護の負担も十分にできましたが、

高齢者が増え、子供が生まれなくなり、若者が減り、今の介護保険制度を作らざる

を得なくなってしまいました。

 

そして平成12年に介護保険制度がスタートし、私たち訪問介護事業所でも

利用者との金銭のやりとり、利用料の徴収という今までになかったことをやらなきゃ

ならなくなり、いわゆる伝票を作成しなければならなくなりました。

 

訪問すれば必ず伝票を書きます。そこには利用料の記載もしています。

介護保険には要介護と、要支援があり、要介護の料金は1回いくらで設定され、要支援

は月の定額となります。細かい説明はしませんが、私の所では要介護の伝票には必ず

料金を記載します。料金を記載したという事は、利用者から

「この金額です。よろしいでしょうか」の意味も含め伝票に印鑑をいただきます。

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そんな事が始まり、利用者に印鑑を押してもらうお願いをすると、ほとんどの方が

「そこにあるから押してちょうだい」とか

「いつもの所にあるから、勝手に押して」

と言われ、そのうちそれが当たり前のようになって行きました。 

 

ヘルパーの方でも、伝票を書き終わると

「印鑑をお借りしていいですか」

「印鑑をお借りします」

と、自分で押すことが前提の言葉になっていきました。

 

そしてとうとうクレームが来ました。

 

「おまえたちは何で他人の印鑑を自分で押そうとするんだ。非常識だ。」

 

その通りです。当たり前です。

印鑑は押していただくものであって、他人が勝手に押すものではありません。

自分たちで押すことが当たり前のようになっていたという事に、恥ずかしさと

情けなさを感じました。

 

すぐに謝罪訪問し、このことは施設内の他の事業所でも起こりうる事として

徹底することを話し、助言いただいたことを感謝するとお伝えしました。

 

それからも利用者からの「勝手に押して」発言はありますが、ヘルパーの

中ではご本人の代わりに押させていただいているという事を忘れずに

印鑑の取り扱いには十分注意しているつもりです。