遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

これしか食べるものがない

ここ数日、日中の温度が30度近くまで上昇しています。

食べ物は冷蔵庫に入れないと悪くなってしまいます。

 

認知症の方には、冷蔵庫の中の物を出して、レンジで温めて

食べることは難しい事なのです。

 

今日の利用者さんは、一人暮らしの女性。

息子さんが、バナナ、パン、おにぎり、お弁当、飲み物を届けてくれ

ています。

冬頃から、自分で食べているのは、パンとバナナくらい。

ご飯類にはほとんど手を付けていない状態でした。

 

ヘルパーは洗濯や着替えの声掛けで1回45分間の訪問です。

訪問した時にお弁当をレンジで温めて、食べてくださいと

声掛けして置いてきますが、食べているんだかわかりません。

食べるところを見届けする時間はないんです。

 

訪問時間を1時間にすれば、利用料金が高くなりますので、

息子さんは声をかけてくれれば、それでいいと言われます。

 

今だいぶ暑くなり、テーブルに出しっぱなしにすれば悪く

なってしまいます。

 

先日、息子さんが置いていったおにぎりに、たくさんの蟻が

来ていました。

でもそれしか食べるものはありません。

仕方なく、蟻をつまんで取って、その利用者の手に持たせて

食べてもらいました。

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おなかがすいているはずですが、持たせても持っているだけで、食べません。

「食べてください」

と言わなければ食べません。

 

そんな高齢者に、蟻がついたものしかないなんて、本当にたまりません。

 

息子さんには連絡し、必ず冷蔵庫に入れていくようにお願いしました。

 

パンとバナナは出しておかないと、自分で食べられるのはそれくらい

ですから。

 

こんな生活でいいはずがなく、ご家族で介護が困難ならヘルパー訪問で

在宅生活を継続するか、時々はショートステイを利用するとか、ケアマネ

も息子さんに提案している様ですが、やはり経済的な問題で、何も増やせ

ないんだそうです。

 

せめて食べるものだけでも、きちんと食べさせてあげたいと思ってしま

います。

間違っていますか?

 

この息子さんも、けっしてお母さんを粗末にしようとは思っておらず、

気持ちはあるんです。でも金銭がどうしても追いつかないんです。

お母さんの年金をお母さんのためだけに使えば何にも問題はないはず

ですが、やはり現状は厳しいようです。

 

これも在宅介護の少なくない現状です。