遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

特殊な食事介助

食事介助と言っても、その方に応じた介助のやり方があります。

 

今日紹介する方は、完全な寝たきりで、日中は1人でお留守番。

発語もなく、意思疎通もできません。

私たちヘルパーは排泄介助の後、娘さんが準備している食事を

温めて食べていただくため、昼食・夕食で訪問しています。

 

この方の食事介助は、この方のみの方法で介助しています。

これもヘルパーみんなで考えた方法だったと思います。

 

まず、普通食べ物を認識すれば、口を開けます。

しかしこの方は口を開けません。

ほとんどの方は、スプーンで、唇をちょんちょんと合図をすると

食べ物と認識して口を開けてくれます。

その口を開けたところで、スプーンで口の中に入れてあげます。

もちろん声掛けも大切で、必ず1口ずつ声掛けします。

 

口を開けないこの方は、どうすればいいのか。

 

この方の場合は、上唇をつまみ、スプーンを口の中に入れて、

上唇にご飯が付くように、スプーンを斜め上の方向に滑らせて

食べていただきました。

 

人間、物を食べるときは、唇が閉じないと物を上手く飲み込めません。

上唇に物が付くことで、下唇が閉じていきます。

その原理で、上唇を持ち上げてスプーンを入れ、上唇で食べ物を

感じてもらう方法で介助しました。

 

この方は、嚥下には障害がなかったので、食べ物を感じれば、

ちゃんと飲み込むことができました。

f:id:maple-enkyorikaigo:20190720220725p:plain

今は寝たきりでも、在宅で一人でいる事が出来ます。

ご家族は仕事があります。

仕事は続けないと、生活が成り立ちません。

だから、訪問介護という制度があるんです。

 

寝たきりだから家で介護できないと思わないでください。

食事の準備さえあれば、ヘルパーが介助して食べていただき、

排泄の介助も行います。

ご家族は安心して就労してください。

それが訪問介護です。

 

施設に入るには、それなりの費用が掛かります。

高齢者の方たちもできれば自宅にいたいと思います。

寝たきりでも、家でお母さんが待っていてくれると

思えば、早く帰ってあげようと思うと思います。

 

ヘルパーはどんな状況でも考えて対処いたします。

ご家族の介護負担の軽減が最大の目標ですから。