遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

きっとお嫁さんが迎えに来たんだ

連日の暑さです。熱中症には気を付けないと・・・

 

そんな中、87歳のおばあちゃん。

食事も摂れず、水分もほんの少量しか摂っておらず、家族は心配になり

病院受診させることにしました。

 

元々何に対しても拒否の強い方で、レンタルのベッドを使用しないかと

声をかけてもダメ。病院へ行こうと促しても拒否。「うん」ていう事が

ありません。

 

このおばあちゃんは長男夫婦と同居しており、長男のお嫁さんがとても

良い人で嫁姑の仲も良好でした。このおばあちゃんが最も信頼していた

お嫁さん。急に体調を崩し、検査入院する事になりました。

 

そしてお嫁さんが入院中に、今度はおばあちゃんが転倒し、プラス肺にも

病気がみつかり入院する事になりました。

 

数週間後、おばあちゃんは徐々に快方に向かい、退院の日も見えてきました

が、そんな時にあの頼りにしていたお嫁さんが残念ながら亡くなってしまい

ました。

 

その事をおばあちゃんに言えなかった長男さん。結局おばあちゃんに伝える

ことなく退院する事になりました。

 

家に戻ってきておばあちゃんが目にしたのは、お嫁さんが亡くなった事を

知らせる忌中の札でした。

その場でおばあちゃんは泣き崩れ、立ち上がる事が出来なかったそうです。

退院してきたその日から、おばあちゃんの引きこもりが始まりました。

トイレは部屋の中のポータブルで。一切部屋から出なくなってしまい、

食事も部屋の中。

 

長男さんにはお嫁に行った娘さん(A子さん)がおり、A子さんは、母も

亡くなり、おばあちゃんを介護している父の事を不憫に思い、おばあちゃん

の身体介護のために毎日きてくれていました。

しかし毎日はA子さんにも負担となり、ヘルパー依頼となった訳です。

 

A子さんが来ない日に、自分の排泄物処理を息子にやらせたくないと

思ったおばあちゃんは、ポータブルの使用をやめ、すべておむつにする

ようになり、そのうち食事量、水分量ももしかしたら自ら減らしていった

のかもしれません。

そして飲まず食わずになってきたおばあちゃんを心配して、今回通院に

つなげる事にしたんです。

昨日移送サービス利用の申請をし、本日の通院に向けて動き出したんです。

 

そして今朝、息子さんがカーテンを開けにお部屋に入り異変に気付き

ました。

おばあちゃんに声をかけ、体に触るとすでに冷たくなっていたそうです。

 

朝一番で連絡をもらい、昨日まで訪問していて、通院すれば元気になると

思っていた矢先の事で、その場にいたヘルパーは驚きのあまり、鳥肌が

立ってしまいました。

 

でもケアマネさんが一言言っていました。

「きっとお嫁さんが、旦那さんの苦労を見ていて、自分の所に呼んだ

んですよ。お迎えに来たんですね。自分のそばの方が良いと思ったん

ですよ。」

 

確かにそうかもしれません。

この息子さん、本当に感心するくらいおばあちゃんのために頑張りました。

食事の準備もよくやっていました。素晴らしかったです。

 

ケアマネさんの言葉を聞いて、少し気持ちが落ち着きました。

 

奥様と母親の二人を短期間で亡くされた息子さんにはお気の毒ですが、

亡くなられたお二人は、天国で再開し、今までと変わりなく仲のいい

嫁姑でいるんだなと思います。

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ヘルパーとしては寂しい話です。

でも、おばあちゃんもお嫁さんもきっと楽しくしているんだと

考えれば、受け入れなきゃと思います。

 

息子さんお疲れ様でした。