遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

事実ではない事を本当の事の様に話をするご夫婦

 

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2Wくらい前から自分の妹さんが亡くなったり、生き返ったりを

繰り返しているC子さん。

 

訪問すると号泣していました。

 

何があったのか伺うと、東京にいる自分の妹が亡くなったとの事。

 

それは悲しくなるのは当然です。

 

こちらから何かを聞き出したのではなく、C子さんが自ら話始め

ました。

 

「東京の妹が、自分の住んでいるアパートの大家さんに、

トリカブトの毒を飲まされて殺されたんだ。」

 

この時点で何だか変な話だと思いました。

 

「え、トリカブトですか。」

 

「そう毒を飲まされたんだって。」

 

「それはどなたかから連絡があったんですか?」

 

「警視庁から電話が来たんだ。」

 

警視庁から電話は来ないでしょう。

 

ここで、夢でも見たのかなと思いました。

 

しかし、本気になって号泣しており、おじいちゃんまで半べそ

かいているんです。

 

ここのお宅はおじいちゃんの排泄介助で朝晩2回訪問しています。

 

夕方訪問すると、朝の表情から一変して普通にしています。

 

「妹さんが亡くなったってどうなりました?」

 

「生きてた。な、爺ちゃん。生きてたな。」

 

「ああ、良かったですね。」

 

 

次の日訪問すると、また別の展開が。

 

「妹がマンションを引っ越しするから、私たちに一緒に

住まないかって言うから行くことにした。」

 

「え、お二人でですか?」

 

「じいちゃんが施設に入ったら私だけ行く事にした。」

 

土と一緒に生きてきたC子さんが一人で都会へ?

それはちょっと無理があります。

でも黙っていました。

 

また別の日。

また号泣。

 

「どうしましたか?」

 

「妹の遺骨が送られてくるって連絡が来たんだ。」

 

「遺骨ですか」

 

遺骨って郵送します?

 

宅急便で来たら犯罪ですよね。

 

「あれ、お元気だったんじゃ。」

 

「毒を飲まされて死んだ。」

 

あら、また亡くなってしまいました。

 

 

 

 

このC子さん、テレビの「相棒」が大好きで、

お正月に「相棒」やりましたか?

 

 

どうもそのテレビと夢と現実がごちゃ混ぜになっている

様です。

 

ヘルパーのみんなは、このC子さんの毎日の話の変化を

報告してくれます。

 

そして先日ご家族に事実確認し、ほとんどが事実とは

違う話であることを知りました。

 

この事実と違う話に対して、適切な返答は何なのか。

 

少なくても否定はしません。

 

しかし悲しまれているときは、つい生きてるから大丈夫と

言いたくなります。

 

ほとんど

 

「ああそうなんですか」「そうだったんですね」

 

といった言葉で返答しています。

 

不穏になることが一番怖いので、否定せず傾聴してあげる事で

なんとか落ち着いています。

 

 

ここ毎日訪問を終えてきたヘルパーから、

 

「今日は妹さん元気でしたよ。」

 

「今日はまた妹さん殺されました。」

 

と報告があります。

 

 

 

しばらくこの話題が続きそうです。

 

 

 

 

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