遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

怒鳴ってるわけじゃないのに

 

 

 

今日の父からの電話です。

 

「今日来たヘルパーさんがね、お母さんの薬を飲ませないで

帰っちゃったみたいでね、薬が残ってるんだよ。」

 

「だからね、薬を飲みなさいってお母さんに言ったんだけど

お腹がいっぱいでご飯を食べたくないから薬も飲まないって

言うんだよ。」

 

「それでね、何かという事を聞かないから聞こえないのかと思って

大きい声を出すとね、怒鳴ってるって思われるんだよね。

怒鳴ってるわけじゃないんだけど。こっちだって大きい声

を出すのって大変なんだよ。息切れするよ。」

 

「それにね、おなか一杯だって言うんだけど、おせんべいばかり

ポリポリと食べてご飯が入らなくなってるだよ。」

 

「あのさ、お母さんも90歳を過ぎてね、同じような高齢者

一杯いるよ。全然特別じゃないし、そんなに心配しなくても

大丈夫だよ。」

 

「そうかね。」

 

「お母さんに代わってくれる。」

 

「はい、なあに。」

 

「お母さん笑わせないでよ。おせんべいばっかり食べてるって?

ご飯食べないからって薬も飲まないなんてダメでしょ。そこに

薬あるんでしょ?」

 

「あら、あるわね。」

 

「電話を切らないですぐに飲んでちょうだい。」

 

「はい、わかりました。」

 

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「お待たせしました。飲みました。」

 

「そしたら、そこにヘルパーさんが作ってくれたおかずがあるんでしょ。

それを一口でも良いから食べて下さい。」

 

「この大根の煮物を食べればいいのね。今食べます。」

 

 

母は私が言えば何の抵抗も無く、薬も飲みおかずも食べました。

 

父に怒鳴られたと思って父に反抗していたような感じです。

 

父に言いました。

 

「また何かあったら、お父さん自分で大声出して言わなくても

良いから、私に電話ちょうだいね。私が言うから。そっちに

行かれない分電話で会話するからね。」

 

「お手数おかけします。」

 

「そんなことないよ。だから電話してね。」

 

 

長年連れ添った夫婦がどちらも要介護者となり、お互いに自分の

事で精一杯で相手の事を援助する事ができなくなっています。

 

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でもできる事をお互いに助けあって、必死に暮らしています。

 

気持ちがすれ違ってしまった時、その潤滑油となれるのはやはり

子供たちだと思います。

 

今私にできる事はそれくらいなんです。

 

そばにも行かれない。

 

電話で話をすることくらいしかできないんです。

 

そんな事しかしてあげられない私に、父は「お手数おかけします」って。

 

申し訳なくて仕方がないです。

 

仕事中で電話にすぐ出られない事もありますが、なるべく両親のために

できる限りの事はしたいと思っています。

 

こんな形の私の遠距離介護です。

 

 

 

 

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