携帯電話の使い方があやふやになりかけている母から、ちゃんと電話が
かかってきました。
「もしもし、あんたに電話するように言われたからかけたの。」
「よくかけられたね。」
「かけたよ。」
「この間お父さんに、私の電話番号を聞いたって言ってたから、携帯の
使い方を忘れちゃったのかと思ったよ。」
「そうだった？」
「お母さんさ、私に電話する時に電話番号でかけて事なんかないよね。」
「そうね。」
「ちゃんとかけ方覚えてるじゃない。良かったね。」
「それがね、すぐに忘れちゃうのよ。恐ろしいくらい忘れるのよ。
あたし認知症だからね。」
「でも大丈夫そうだね。思い出せるみたいだからね。」
「何だか知らないけど、認知症は困るわよ。」
普通認知症の人は、自分の事を認知症だとは言わないんですが、
母はいつも認知症を自慢げに話します。
忘れてもしょうがないでしょっていう事なんでしょうね。
本当に明るい認知症ですよ。
これが朝の電話でした。
夕方また母から電話がありました。
「もしもし、あんたに電話するように言われたからかけたわよ。」
「朝、今とおんなじ事言って電話してくれたわよ。」
「あら、そうだった？忘れちゃうのよね。」
「何回かけてくれても良いわよ。」
「じゃあそれで良いのね。じゃあね、ごめん下さい。」
あら、切っちゃった。
本当に笑わせてくれます。
元気に電話をかけてくれました。
それも２回も。
電話を忘れない様に、またかけるように父に言ってもらいます。
ずっとやり続ければ、認知症でも何とかなるんですね。
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