遠距離介護ダイアリー

東京と東北間での遠距離介護は突然始まりました。私はホームヘルパ ーを25年以上やっており色々な在宅介護を目の当たりにしてきました。人間誰にでも訪れる介護の話を日々綴っていきたいと思っています

大正生まれの人の免疫力はすごかった

私がまだヘルパーになりたての頃の話です。

 

私たちの仕事に食事の提供があります。

それは、調理だったりあるいは冷蔵庫にあるもので食事のセッティング

をする事だったり、利用者様ごとに様々です。

 

ある大正生まれの一人暮らしのおじいちゃん。

この方は近所のスーパーに電話で食べ物を注文して、配達してもらって

おられました。自分で注文しますので、冷蔵庫の中に何が入っているか

は、しっかり把握されていました。

その当時すでに歩行は困難だったので、冷蔵庫にも自分で行くことは

ほとんどなくなっていました。

 

毎日訪問し、何をお出しすればいいかをご本人に伺い、それをお盆に

のせて、食事の準備をします。

 

ある日、イカの刺身があるから、それを醤油とわさびを混ぜたもので

味付けしてお皿に入れてほしいと言われました。

 

確かにイカの刺身が冷蔵庫にありました。

ところが、その刺身は賞味期限がとっくに過ぎており、おまけにすでに

悪くなって糸を引いていました。

 

私はそのイカは食べられないと説明し、その物を見せました。

見て確認したにも関わらず、いいから言うとおりにしてくれと言われ、

ヘルパーが準備したものを食べて食中毒を起こしたと言われたら困る

と言い、捨てようとしました。

 

それを聞いたおじいちゃんは激怒。

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「醤油とわさびに漬ければ、絶対に当たることはないんだ。捨てるな。」

 

生活保護受給者のおじいちゃんが、保護費で購入した刺身ですから、

勝手に捨てることはできません。でも悪くなっているんです。

 

明日食中毒で救急搬送。私のせいで。

そんなことばかりを考えました。

 

苦渋の選択です。

仕方なく言うとおりにしました。ただ、刺身を水で洗い、ぬるぬる

はとって出しました。

 

次の日訪問すると、しっかり完食。

腹痛を起こしている様子もなし。

 

腐って糸引いてる刺身を食べてもなんともないんです。

ビックリしました。

 

先日訪問したおばあちゃんは、鳥の唐揚げを買ってきてと言われ、

いうとおりに買いました。そしたら、

「これくらいあれば、一週間買い物しなくても十分。」

って。

 

量的には十分でも、一週間はダメでしょ。

それがへいきなんです。

 

昔の方たちは本当に丈夫です。

免疫力が違います。

 

今の若い人たちだったら大変です。

きれいな環境で育って、菌に対する免疫なんてあまりありません。

 

悪い物を食べてまで免疫力をつける必要はありませんが、昔の人の体

は、やはり今とは違いますね。

戦後生まれはそんな免疫はないでしょう。